たまごかけごはんといえば、日本の食卓ではなじみの深いソウルフードの1つですよね。
ですが、たまごかけごはん以外にも、全国各地にはこんな「たまご」を使ったソウルフードが!
今回は、日本全国各地の卵を使った郷土料理をご紹介します。
〇沖縄『たつ汁』
たつ汁は、お椀に「宮古みそ」と鰹節、生卵を入れ、お湯で溶いただけのシンプルな宮古島の伝統食です。
宮古島では昔から、体調が優れない時、二日酔いの朝などにこれを飲むと、免疫力が上がり元気になるといわれています。
また、朝ごはんの定番メニューとしても親しまれています。
地域によっては「たち汁」とよばれたり、沖縄本島では生卵が入らない「かっちゅう湯」が定番なんだそう。
伊良部島では別名「勝負汁」ともいわれ、運動会や受験など“勝つぞ!”という時には縁起担ぎとしてこれを飲むんだとか!
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染みる~!!鰹のうま味や卵のコクがあり、元気が出る味です。完全栄養食である卵と、ミネラルが含まれるお味噌の組み合わせは、まさに勝負の前にはピッタリの組み合わせ。理にかなっていますね!
〇宮崎『チキン南蛮』
延岡市発祥のチキン南蛮は、昭和30年代に洋食店のまかないとして誕生しました。
昭和40年代には、ごちそうメニューとしてお客さんも食べられるようになり、学校給食や家庭料理、飲食店のメニューとしても浸透しました。
南蛮とは「南蛮酢」のことを指し、唐辛子などが入った甘酢「南蛮酢」に浸した鶏料理なので「チキン南蛮」と呼ばれています。
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宮崎に限らず、今やお総菜やレストランのメニューとしても馴染みのある料理ですね。甘酸っぱいタレが絡んだ鶏肉と、卵たっぷりのタルタルソースとの組み合わせってズルいですよね。ついついご飯が進んじゃいます。
〇兵庫『明石焼き』
明石焼は卵焼きとも呼ばれ、卵、浮き粉(小麦粉のでんぷんを生成したもの)、小麦粉、出汁を混ぜた生地にタコを入れて焼き、だし汁に付けて食べる兵庫県明石市の郷土料理です。
たこ焼きと似ていますが、浮き粉が入っているためたこ焼きよりもトロっとしていて、ソースではなくだし汁に付けて食べるという違いがあります。
明石焼きのルーツは、明石の地場産業だった「明石玉」という装身具を作る際、卵白を使ったため、余った卵黄を使って作られたのが始まりといわれています。
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卵たっぷりのふわトロな生地にお出汁が染みて、ついつい箸が止まらなくなっちゃう美味しさです。
タコが名産品の明石ならではの料理でもありますね。明石タコはぷりぷりとした食感が特徴ということで、いつか本場の明石焼きを食べに行ってみたいです!
〇京都府『衣笠丼(きぬがさどん)』
衣笠丼は、甘辛く炊いた油揚げと青ねぎを卵でとじ、ご飯にのせた丼ぶりです。
衣笠とは、京都府北区、鹿苑寺に臨む「衣笠山」からきています。
平安時代、宇多天皇が真夏に「雪をかぶった山を見たい」と望まれ、白い絹を集めて山を覆い、雪に覆われた山に見立てました。油揚げとねぎにふんわりとした卵がのった姿が、青々とした木々の上に白絹をかけた衣笠山を思わせることから、衣笠丼と呼ばれるようになったといわれています。
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親子丼とも似ていますが、おあげからお出汁がじゅんわりと染み出す感じが、とっても上品で美味しいです。山に見立てたというのも素敵ですね。
〇静岡県『たまごふわふわ』
たまごふわふわは、熱した出汁に、よく泡立てた卵を流し入れ、蓋をして蒸らした料理です。
江戸時代に袋井宿で提供されていた料理で、袋井市観光協会が地元の新名物にと復活させました。元となった「定家卵」は、江戸時代後期の料理本「万宝料理秘密箱 卵百珍」に記載されています。
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口の中でふわっと消えるような食感です!お出汁と相まって、優しい味でとっても美味しいです。
〇石川県『べろべろ』
べろべろは、煮溶かした寒天に、溶き卵、砂糖、醬油を入れて固めた料理です。
江戸時代の料理書「料理百珍」に記載されている「たまご寒天」にルーツがあるといわれています。
当時貴重品だった卵や砂糖をごちそうに仕立てており、冠婚葬祭やお正月など、ハレの日に食べられます。また、昔は子どものおやつとしても定番だったそう。
つるつるとした見た目から「べろべろ」と呼ばれるようになりました。
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食べると「べろべろ」の名前の由来がよくわかります!まさにべろべろとした食感ですが、砂糖と醤油で馴染み深い味付けなので食べやすく、おせちなどハレの日の料理にはピッタリだと思いました。
〇青森『たまごみそ』
卵味噌は、卵、味噌、砂糖を使って半熟に仕上げた青森県津軽地方に伝わる郷土料理です。
地元名物であるホタテ貝殻を鍋にした「貝焼き味噌」が原点とされています。
ご飯にのせて食べたり、ご飯と一緒に海苔で巻いて食べるのが定番なんだそう。
風邪を引いたときに、おかゆにのせて食べる家庭も多いそうです。
<片桐レポ→>
シンプルな材料なのに、美味しくてびっくり!!卵の半熟な感じと、甘じょっぱい感じがすごくご飯に合います。風邪を引いたときに、おかゆにのせて食べるというのも、栄養満点の卵料理ならではですね。
今回はなんと、青森県出身、幻の卵屋さん店長・AKRさんのお母さんに、本場の「卵味噌」の作り方をお伺いしました!!
【青森県出身!AKR店長のお母さん直伝!!「卵味噌」の作り方】
<材料>(作りやすい分量)
卵・・・3個
油・・・大さじ2
味噌・・・大さじ2
砂糖・・・大さじ1
<作り方>
① 卵はボウルに割り入れてサッと溶く。
② 熱したフライパンに油をひいて、弱めの中火にし、①を流し入れる。弱火にして、味噌、砂糖を加え、中火に戻して一気にかき混ぜる。
③ 少し固まってきたら(トロっとするくらい)、火から下ろして濡れ布巾の上に置き、かき混ぜて全体が半熟になれば出来上がり。
いかがでしたか?
全国各地では、その土地柄に合わせて様々な卵料理が親しまれていますね。
「卵味噌」のレシピも、ぜひお試しください。
これからも、日本が誇る美味しい卵をいっぱい食べていきましょう!!
投稿者:片桐佑香
【参考文献】
衣笠丼のレシピ・作り方|和食がいっぱい。ヒガシマルレシピ|【ヒガシマル醤油】
えびす / べろべろ 石川県 | うちの郷土料理:農林水産省
風邪を引いたときにも食べる『卵味噌』って知ってる?知る人ぞ知る「あの県」の郷土料理とは?簡単な作り方も紹介 | 食・料理 | オリーブオイルをひとまわし