なぜたまごかけごはんはこんなにも美味しいのか?

朝、昼、晩、おやつ、夜食・・・。いつどんな時に食べても美味しい、たまごかけごはん。たまごかけごはんは、なぜこんなにも美味しいのでしょう?
たまごかけごはんの美味しさの理由を解説していきたいと思います。


<理由その1>卵は味のバランスが良い!

人の味覚には5つの基本味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)があります。そのうち、2つから3つの味が含まれていると、より一層美味しいと感じやすくなります。
卵には基本味のうち、甘味、塩味、うま味、の3つが含まれており、塩味が甘みやうま味を強調して美味しさを際立てる(対比効果)バランスになっています。

〇対比効果とは?

一方が他方の味を強める現象をいいます。
例)・甘味+塩味→餡に食塩を加えると甘みが強まる。
 ・旨味+塩味→だし汁に食塩を加えるとうま味が引き立つ

<理由その2>日本の米は卵に合う!

ご飯は粘りがありすぎると卵が絡みにくく、風味が強すぎても卵や醤油とうまく馴染みません。
世界には様々な米がありますが、日本のうるち米は粘りや風味、歯ざわり、のどごしの点で一番バランスが取れています。
なので、ふっくらとしていて卵が絡みやすく、風味の優しい日本のうるち米は、たまごかけごはんに最適といえます。

<理由その3>醤油と米がたまごの美味しさを引き立てる!

卵にはグルタミン酸といううま味成分が含まれます。
醤油にはグルタミン酸の他、アスパラギン酸などのうま味成分が含まれ、塩分も加わるため、卵のうま味と相まって、より美味しいと感じるのです。(うま味の相乗効果)
また、ご飯のほんのりとした甘さは、卵の濃厚さや塩味を際立てます。
卵はそのままではどろっとしていますが、ご飯が程よく水分を吸収することで、ついサラサラっと口にかき込みたくなるような口当たりとなります。

〇うま味の相乗効果とは

2つの味の和より著しく強いうま味を感じる現象をいいます。

<理由その4>食欲をそそる見た目!

卵の黄身の色は、赤、オレンジ、黄色などの暖色系であることが多いですが、暖色系は食欲をそそる色として神経を刺激します。食欲増進色と呼ばれることもあります。
また、卵の黄身のとろ~りとした感じや、ほかほかの湯気が立ち上るご飯などに「シズル感」という言葉が使われます。
「シズル感」とは、目にした瞬間に食欲をビビッと五感を刺激する感じのことををいいます。
たまごかけごはんを見て美味しそう、と思うのは、食欲を刺激するような色やシズル感が影響しています。


たまごかけごはんが美味しいのには、きちんと根拠があるんです。
卵、ご飯、醤油。それぞれが相互に作用して、完璧な美味しさを作り上げています。
そこでぜひおすすめしたいたまごかけごはんの作り方が「サンライズ」。

【サンライズ】の作り方

① お茶碗に盛った温かいご飯150gに、醤油7gをかけ、混ぜる。

② 別の容器で軽く溶いたMサイズの卵(60gくらい)を①にかけ、混ぜて食べる。

※醤油は家にあるものでもOK。おすすめは薄口醤油や、少し甘みを感じられる醤油。

こうすることで、まず卵のうま味と甘味が全面に感じられて、ふわっと醤油のコクと風味が追いかけてくるという、味のグラデーションを楽しむことが出来ます。


美味しいたまごかけごはんが日常的に食べられる国に生まれた私たちは、本当に幸せですね。これからも、世界に誇れるたまごかけごはんをたくさん食べていきましょう!
Let‘s たまごかけごはん!!

投稿者:片桐佑香

【参考文献】

「まるごとわかるタマゴ読本」(渡邊乾二),一般社団法人農山漁村文化協会,2019